T・Cの開発技術(兵器関連)一覧③

【Tw-CGW-001 グラビコン・ハンマー】
 トロピカル・カンパニーの携行火器開発部門の一派、
“起爆剤”が開発した重近接兵器という他に類のない兵器。
 カロリック兵器が続々と開発が進められていく中、それに準じて平行して高められていった
技術がひとつ存在する……それは重力制御機構――グラビコン・システムである。

 VCRから続くグラビコン・システムの活用は、同時に同システムの進化を促した。
それにより、小型化を実現しながらもより重力制御効果を高める事となる。
 カロリックシステムの技術発展が根詰まりを起こし始めてきた中で、
起爆剤はグラビコン・システムそのものを用いた兵器を設計、開発を進めていく。

 グラビコン・システムは発生装置から近ければ近いほどより効果を発揮する。
 よって近接兵器にグラビコン・システムを組み込み、その一撃に重力を付加させ
対象を圧壊する――コンセプトとしてはそれで完成した。
 そしてよりその効果を発揮する近接武器のモデルとして起爆剤が選んだのは、
モンスターハンターが使用する武器――ハンマーであった。
 起爆剤はモンスターハンターが使用するハンマーをモデルにするべく、
実際に彼らハンターの武器を製造する工房に赴くという奇妙なこだわりを見せるが、
彼らによるとそれでより一層、製作意欲が増したという。

 そうして完成されたグラビコン・ハンマーは、通常時は重力制御によって
本体を所持する使用者にかかる重量負荷を抑え、まるでそこらの木の棒を
振るっているかのような錯覚を感じると言わしめるほどのものに。
 そして一撃を加える際には、そのインパクト時にこれまでとは逆に
質量以上の衝撃を加重、さらには同システムによる重力障壁(グラビティ・ウォール)を
接触面に限定して展開させることで威力をより高めることにより、
当初の目的通り標的を圧壊させる結果を生み出した。

 近接武器という括りの中で、起爆剤らしいひたすらの一撃特化が見事に
表現された一品といえるが、相変わらず実用性・採算性皆無な商品ともいえる。
 実際に威力は認められ、使ってみると意外と使いやすいのではあるが、
何より近接武器としては大きすぎ――さらに重力制御されているとはいえ、
その使用者はPSやIS、最低でもウィッチといった機動要員限定の兵装であるという点より、
本兵器をイロモノ扱いさせるには十分であった。

 だが、グラビコン兵器という新たな技術的開拓(ジャンル)を見出した本兵器の登場で、
トロピカル・カンパニーではカロリックに代わる新たな技術開発として重力兵器が
生まれていく事となり、その意味で言えば本兵器は重力兵器の先駆者(パイオニア)といえるだろう。


【Tw-HGW-001 グラビコン・ランチャー】
 かつてデュノア社と共同してVCRを開発したトロピカル・カンパニー、
携行火器開発部門の新人たちの一部が、新規技術の開拓を何よりも由とする新たな一派を結成した。
 蓄積の研鑽よりも一瞬の発想を重視し、若さに任せた熱狂を以って開発に突き進む
その一派――“インスパイア”は起爆剤によって完成されたグラビコン・ハンマーに強い対抗心を抱いていた。

 元々、グラビコン・システムを携行火器に活用するという手段を最初に見出したのは彼ら新人たちである。
 しかしグラビコン・システムを中核に添えた携行火器を最初に開発したのは起爆剤に取って取られてしまった。
 インスパイアが結成されたのはグラビコン・ハンマーが完成する数か月程度前ということもあるが、
この事は新人たち――もといインスパイアに刺激を与え、血気盛んな若者たちは動き出した。
 起爆剤はグラビコン・システムを近距離兵器の手段として昇華した。
 ならばそれに対抗――もとい凌駕するにはひとつしかない。

 グラビコン・システムを用いた遠距離攻撃手段――重力砲である。

 人類が所有する重力を用いた遠距離砲撃システムはすでに『ブラックホールキャノン』が存在するが、
それは動力にブラックホール・エンジンがあって完成される。
 ブラックホール・エンジンは運用のコストもリスクも大きく、また
同武器も制御が難しくさらに大型で限定的な運用しか望めない代物であった。

 よってインスパイアが導き出したのは、
「ブラックホール・エンジンを用いないブラックホールキャノンの小型化及び簡略化を施した重力兵器」
である。

 VCRの開発以降、小型化が進んで来たグラビコン・システムだが、
それでも人ひとりが持てるようなサイズ、そして重量ではない。
ゆえに最低ウィッチでも使える限界ギリギリのサイズ、及び重量に抑え、
継続戦闘時間を可能な限り伸し安定性を高め、そして中核となるグラビコン・システムを除き、
その他は整備性を重視した設計を組み込むことを考える――と、熱狂に浮かれる若者たちだが、
商品として抑えるべき点は抑える点は起爆剤とは異なっていた。

 さて、そうしてグラビコン・システムからなる小型重力砲の開発を進めていく
インスパイアであったが、当初からいきなり難題にぶち当たった。
 射程が取れないのである。インスパイアは重力波からなる重力波砲として
開発を進めていく事を決めたのだが、効果を発揮する重力波ビームを携行火器のサイズで遠距離まで維持するのが非常に難しい。
想定したサイズではせいぜいビームの射程は5mしか取れず、これでは遠距離攻撃手段としては落第点であった。

 グラビコン・システムはそのシステム中核部から離れれば離れるほど重力制御効果は減少する……
この問題は分かり切っていたことであったため、目下、制御効果の延長を第一とし研究が進められていく。
インスパイアたちは若さからなる熱狂を糧として技術研究を進め、結論として生成された
重力波ビームを従来の限界以上に圧縮させ、それが解放された際の反動を用いてビーム速を高め、
その効果で射程を伸ばす事にした。これはいわば“水鉄砲”の理論である。

 そしてその圧縮方法として、重力波の圧縮過程には霧の艦隊、及び時空管理局両方の
重力制御技術を取り入れた事で限定的な亜空間干渉技術を確立。
 それにより、“エーテル亜空間”に一時的に重力負荷をかけることで限定的な孔口を行い、
そこに重力波を流し込み、エーテル亜空間をチャンバーとして機能させ発射の際には開かれた
孔口から圧縮された重力波ビームが流出、砲身を通って通常空間上に照射される。
 結果、想定されていた攻的重力波ビームは極小の細さ(僅か数ミリ)になってしまったが、
元より重力波ビームによって周囲の空間を捻じ曲げてビームの射程内の対象を
圧壊させるため、威力面では問題にはならなかった。

 実質無限のエネルギーチャンバーを有しているに等しい関係上、チャージした分だけ有効射程は上昇、
最大観測でゆうに十数キロに達し、まさしく重力砲撃兵器といえるに相応しい携行火器となった。
 威力はブラックホール・キャノンには到底及ばないまでも、霧の艦隊を相手に
ダメージを見込めるほどの火力、連射性はチャージを絞ればある程度は可能で、かつ大型化した事で
取り回しは悪いが整備性と安全性は確立された。
 インスパイアが初めて手掛けた重力砲は準戦器兵器級の威力を持ちながら、ある程度ながらも
量産性を確立させることに成功……もっとも、それを支えるだけの運用コストを所有している事が前提であるが。

 VRCと同じく相変わらず現場にはウケが良いが、後方では頭痛のタネとなる兵器となった。
 しかし遂に人類が手にした実戦的な重力兵器である事は間違いなく、
インスパイアの若き力は間違いなく人類技術史に名を残す結果となった。
 また、本兵器をベースに、ブラックホール・エンジン所有機での運用を目的とした
専用小型モデル――“グラビコン・ライフル”を開発、同エンジンを搭載する
ISとストライカーユニットのユーザーに試験目的で貸与している。


【Tw-CGW-002 グラビコン・セイバー】
 起爆剤が開発したグラビコン・ハンマーに続く、第二のグラビコン・システム搭載の近接兵器。
インスパイアが開発したグラビコン・ランチャーとほぼ同時期に開発が進み、
同兵器の重力波操作技術が応用されている。
 開発着手時期はグラビコン・ランチャーこそが先だが、完成は本兵器が先であった。
 しかし意図的にグラビコン・ランチャーよりも正式ロールアウトの時期を遅らせている。

 開発主導を行ったのはジ・エーデル当人、ブラックホール・エンジン搭載機が
持つに相応しい近接兵器を求めて開発が進めたとされる。
 正式ロールアウトをグラビコン・ランチャーより遅らせたのも、
インスパイアら若者たちの熱意を無下にしないようにしたためらしい。

 刀身そのものが重力波で形成された非実体剣、待機状態では単なる筒状の物体だが、
展開時にサーベル状のエネルギー体を形成する。
 重力操作を行っているとはいえ、そのエネルギー効率は他のグラビコン兵器の比ではなく、
また出力調整、および整備も容易く、生産コストもさほどというものではない、
という以上の点から完成度という点では随一のグラビコン兵器。

 名目上はブラックホール・エンジン搭載機のための兵器としているが、
実際は非搭載の機動兵員でも扱える代物である。
 ジ・エーデル本人が直々に手掛けただけはあり、本兵器は特に優れているといえ、
近接戦を好む機動兵員にとっては垂唾の一品となっている。

 なお、ジ・エーデルは極稀に本兵器を「ロシュセイバー」と呼称にしているが、
それが本兵器への彼なりの愛称なのか、はたまた何か意味のある名前なのか分かっていない。


【重力崩壊弾(ブラックホールクラスターボム)】
 国連が主体となって開発した超重力発生兵器――来るべき時に備えての防衛手段……とされている。
 開発主体は国連となっているが、その裏で開発の協力を行ったのはトロピカル・カンパニーのスタッフ、
そしてジ・エーデル本人である。
 あくまで国連が開発した事になっているため、トロピカル・カンパニーが開発した
兵器にあるナンバリングは付けられていない。

 その正体は極めて小さなマイクロブラックホールを発生させ、限定的な偏向重力場を広域に展開、
空間ごと設定された範囲を圧壊させる超戦略級重力兵器。
 その威力はブラックホール・キャノンすらも超え、人類が手にした本物のブラックホールともいえる代物。

 実のところ、この兵器はブラックホール・エンジンを爆弾化させたものであり、
ジ・エーデルらはエンジンを爆弾としてブラッシュアップさせた。
 使い捨てのブラックホール・エンジンとなるため、当然というべきか運用コストはケタ外れ、
一発限りの兵器の中では地球圏内最大の金喰い虫である。

 現在のところ、試験目的で試射された一発を除いた三発が国連軍の重要基地に保管されている。

  • 最終更新:2019-02-18 18:40:12

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