0174【世界の終わりについて】

 すると、倶利伽羅が声を聞いてか病室の外に姿を見せた。半死半生の重傷はすっかり治っているようなので、容赦無く単独行動を咎める発言が頭から浴びせられる。しかし、それを全く悪びれない倶利伽羅に弦十郎の拳が制裁を加える。地面に足がめり込み、再度気を失う倶利伽羅を前に、今度は弦十郎が大人げないだのやり過ぎだのと糾弾される羽目に。

 結局、今日は時間も遅いので話し合いは明日と言う事になり一同は病院で夜を明かす。翌日の朝、病院の会議室を借りて一堂は再度集結する。議題は勿論、倶利伽羅の独断専行に及ぶ理由である。意味も無くあのような行動を取る訳が無いからとして、スバルと燕が説明を求めるのは至極真っ当な理由と言えた。



 これ以上隠すのは無理だと悟った倶利伽羅、みすらと館林が語った内容を皆に話す。出だしは――



「あと**日先に・・・無~くなるんだってよ、世界」



 その後時間にして5分ほどだろうか、倶利伽羅が話をする間誰も口を挟まなかった。野次も入れなかった。否定も肯定もせず、ただ黙って聞いていた。ここにいる大半は、倶利伽羅が日頃から嘘や冗談を好んで口にするような性格では無いと知っている。倶利伽羅本人がこの話を事実として認識しており、尚且つ別の世界からやって来た記憶喪失の存在。それらが組み合わさり、これ以上無い謎の説得力があった。

 その発端となる1341プロに連絡し件の占い師についての情報開示を求めるが、プライバシー保護を盾に応じる姿勢を見せず、館林も電話に出ない。気は進まないが、弦十郎が政府機関として事情聴衆の手続きを部下にさせるが、直後に上からストップが。1341プロは政財界に太いパイプを持っており、そこから圧力が掛かったらしい。世界に危機が迫っている事をどうして隠すのかと憤るZちゃんに対し、無計画に公開したところで対策どころかパニックを引き起こすだけだとクリスが説明するが、余分な一言のせいでまたも一触即発の空気に。しかし、それを政府関係者にまで伏せる以上何かしらの思惑が絡んでいるのは間違いない、それによって利益を得て私腹を肥やす存在がいるだろうと裏社会に詳しいグレンダさんが指摘。ここで翼のマネージャーにして特異災害対策機動部二課のエージェント・緒川慎次がここ数日の株取引データをタブレット端末に表示。それによると、1341プロを筆頭にいくつかの企業の株価が不自然な上昇線を見せているとの事。

 それを見ていたグレちゃんが珍しく声を上げる。ピックアップした企業の中にゲーム制作会社があり、そこの社長が一昨日変死しており新作の開発が中止になったと言う。その会社の株価は昨日から急落しているのは単なる偶然で片付けられない。社長は変死ではなく、利権絡みで殺された可能性が極めて高い。

 しかし、調べたくても特機部二は警察では無いので聖遺物が絡まない案件への捜査権は与えられていない。時間は掛かるが、知り合いの刑事を頼ろうとする弦十郎に、鋼家への依頼を薦める倶利伽羅は「ウチにはその道のプロがいるんで」と燕の肩に手を置いて不敵に笑う。

 翼に仕事の時間が迫っている事もあり、詳しい話はまた後日として特機部二の面々が帰ろうとするのを呼び止め、響の前で膝を付き地面に頭を叩きつけるかの勢いで土下座を決め、謝罪と言う名の絶叫をする倶利伽羅に一堂は驚愕する。




  • 最終更新:2018-10-31 19:25:53

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