0081【二度死んだ少女】

 和環に"光臨"した倶利伽羅が夜闇に消えたのと同時刻、海珠は創作の中にしか現れないような怪物に殺された。正確にはそういう悪夢を見ていた。

飛び起きる。いやに現実味のある夢だった。破られた腹部に残る感触を払拭し、再度床に就く。
しかし、彼女の恐怖はこれだけでは終わらない。寧ろ、これから始まるのだ。

 その日、朝から起こる出来事全てが夢の中での出来事と一致していた。まず唯一の肉親である祖父より早く起きて、日課である道場の雑巾掛け。

 麦飯と味噌汁、鯵の干物と香の物。日本古来の和食で朝を済ませ、後片付けを祖父に任せて出立。途中、ベルが執事と暮らしている豪邸を訪れ、二人並んでの登校。

 午前の授業。現国、数学、物理、体育。グラウンドに眉毛を書かれた白い野良犬がベルを襲うタイミングも覚えているので、「瑞浪流・破竹之勢」で受け流し、これを撃退。昼休み、ベルが箸を忘れるので余分に用意しておいた分を渡し、一緒にお弁当タイム。その後は屋上でスクールアイドルのダンスの練習を見学。途中で参加させて貰うと、初めて見るはずの振り付けをほぼ全て再現して見せた事でメンバーへの勧誘を受ける。これも、夢の通りだった。

 そして放課後、古書店でのアルバイト。来ない客、過ぎ行く時間。訪れる終業時間。そして帰る途中、見覚えのある橋。

 怪物と遭遇した場所。避けようと思うのに体は夢と同じように動く。そして同じ怪物に遭遇し、同じように腹を殴り壊されて殺される。

 そして、布団から飛び起きる。午前二時、これまた夢と同じ。


  • 最終更新:2017-06-25 18:16:50

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