0072【インフェルノ】


 絡まりあった細い胴体がほぐれ、中心部が露出する。そこには黒く脈動する人間大の物体が、細い管で繋がりぶら下がっていた。訳もわからずその動向を見守る五人の前で、物体の表面にある無数の穴から突如黒いガスが吹き出す。毒ガスではないようだが揮発性の高い性質と思われる。何故なら、その後間を置かずにガスは引火し、激しい爆発を起こしたからだ。

 爆炎に巻き込まれたスバルは、防御魔法を砕きなお衰えない圧倒的なパワーの前に全身をボロ雑巾のようにされて吹っ飛ぶ。彼女に庇われた三人も既に執事らの傍に逃れていたゲッちゃんも、爆発を受けていないにも関わらず、その衝撃そのものによる何かによる悪影響を受けていた。黒い物体を再び隠し、敵はうねうねと動いている。が、その動きは今までより明らかに鈍い。間違いなく与えたダメージは大きい筈。だが、向こうも必死なのだろう。棍棒のような太い鞭を振り回し、接近を妨げる。それ以前にこちらの体力も限界寸前。状況は「どちらが先に止めを刺すか」の段階に達していた。

 その頃、スバルは全身血塗れになりながら立ち上がる。マッハキャリバーが身を案じる言葉を掛けると、「誰かを守る為に、怖くても足を前に出すんだ」と自分に言い聞かせるように呟く。もはや焦点も合っていないような目で踏み出したはじめの一歩は弱弱しく今にも倒れそう。しかし、一歩歩く毎に力強さを取り戻す。そして、マッハキャリバーで疾走するまでに持ち直す。


  • 最終更新:2017-04-07 21:16:07

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