0070【幽世(かくりよ)の隙間から】


 歪みは光と混じり合い、より大きな隙間が生じる。そして、そこから「何か」が姿を現す。先までの鬼蟲自体常識の埒外だがそれと比べてもなお、それは明らかに異質。この世に生けとし生けるもの全てが、絶対に持ち得ない青白い肌。腕なのか、脚なのか、胴なのかも区別がつかない細長い何かが絡まり形成された不細工な異形。動物なのか、それとも植物の蔓か茎なのかすら判断出来ない何か。

 その場にいた誰もが目の前のそれが何かと言う知識どころか、形容する言葉すら持たず、全身を激しい拒絶と言う名の戦慄に支配されていた。しかし、全員が共通して言えるのはそれが決して相容れない「人類の敵」と言う事だけ。それだけは、確信を持って言えた。

 Zチームが攻撃を仕掛けるが、ダメージは無い。或いは損傷しているのかも知れないが、そう判断していいのかすら誰も分からないのだ。声のような異音と共に長く太い体がばらけ、蛇のように動き鞭のようにしなりその場の全員を打つ。その威力は決して耐えられないものではないが、楽観視も出来ない。

 暫くすると隙間が青白い光となってその何かの巨体に呑み込まれる。何かは全身を震わせて、殺意を全方位にばら蒔く。


  • 最終更新:2017-04-07 20:40:11

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