0054【一撃必倒】

 宣言通り、倶利伽羅が完成させた特大の隙は、スバルの刻むリズムとタイミングが一寸の狂い無く重なる。

 練り上げた魔力で形成した球状の魔力を左手で保持。振り上げた右手のリボルバーナックルの一撃で、それを前方に打ち出す。
 彼女が憧れ、目標としたとある女魔導師が得意としていた魔法を、自己流に昇華させた一撃必倒の砲撃魔法。その名を――

「ディバイン・バスタァァァァァッ!!」

 ややスマッシュ気味に撃ち上げられた魔力の零距離砲撃。純粋な魔力による文字通りの力押しは清清しいほど圧倒的な決着をもたらした。一方、宙を舞う剣士の手を倶利伽羅は見ていた。魔剣の柄が剣士の手に癒着・一体化しているのを確認。あれを外すのは難しいだろうと倶利伽羅は推測。ああも剣と同化している以上、無理に外せば命に関わるかも知れない。失われた記憶の中に解決の糸口があった可能性を思うと、この勝利は手放しで喜べなかった。

 剣士はその勢いのままビルの屋上を飛び出し、一気に一階部分・現場入り口へ墜落。二人で墜落現場に下りると、剣士の四肢は衝撃で砕けて戦闘続行は絶望的と誰もが判断するレベルの損傷だった。しかし、その目は未だ力尽きてはおらず、有らん限りの呪詛と思われる未知の言語を吐いている。その肉体を支配している魔剣の意地がそうさせるのか。倶利伽羅は鉄鞭を剣士の兜に叩きつけて黙らせると、動かなくなった剣士の肉体は光の粒子となって消失する。

 勝鬨を上げる余力すら使い切っていた倶利伽羅はその場で力尽き、スバルにおぶられて丘の上の孤児院脇の「鋼家本舗」へと帰還。



  • 最終更新:2017-03-29 17:39:32

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