0053【その鋼拳(いちげき)は流星にも似て】

 倶利伽羅の合図で一斉に飛散する火球。その合間に放たれる幾多の放射火炎。直射によるZOC(zone of control)と散弾による索敵阻害、二種の炎による波状攻撃。初めて扱う筈の火尖鎗、いやに手に馴染む。放たれる炎は実際には炎ではなく錬同様に倶利伽羅の生命エネルギーを由来とするものだった。しかし、数と速さが剣士の魂喰らいの特性を上回るダメージを与えている。

「いける? マッハキャリバー」
「No problem.(問題ありません)」

 倶利伽羅の背後でスバルが虚空に呼び掛けると、それに彼女の脚絆が応じる。「マッハキャリバー」と呼ぶ謎の声と打ち合わせを終えると、両手で自身の魔力を練り始めた。

 火球を叩き落とし放射を剣で防いだりする中、手数の多さに防御の隙間を突いての被弾が重なる。埒がいかぬとばかりに剣士は、倶利伽羅から一度ダウンを奪いかけたあの三次元斬撃で火球を一掃し、放射を空中に退避して逃れた。

 しかし、ここに来て致命的な愚を犯した剣士だった。体勢を整えられない空中、それを隙と断じスバルが行動開始。予備動作無しでいきなり加速し、間合いを一気に詰める。しかし剣士は、空中で剣を使いスバルへの牽制と姿勢制御を同時に行おうとする。だがスバルも相討ち覚悟で突撃を敢行。そこに、何やら高速で飛来するものが。

 それは倶利伽羅の左腕。機械化された肘から先の腕を、ロケットパンチのように射出したものだった。鋼の拳は流れ星のように飛び、剣士の無防備な脇腹に突き刺さり、甲冑を割り砕く。血を噴きながら、剣士の体勢が再び大きく崩れた。



  • 最終更新:2017-12-27 21:07:34

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