0049【魂を解き放て】

 他者の魂を呑み己の力とする禁忌の業「魂喰らい」。目の前で行われた非道、それを阻止できなかった自分への悔恨から一瞬意識を逸らしてしまう倶利伽羅。

 その隙に間合いを蹂躙し放たれた禍々しい重厚な一撃は、昼間響と戦った際に受けた打撲傷に障り、結果踏ん張る事も出来ず吹っ飛ばされる。追撃に対しガードを上げるより早く大剣の柄で頭部を穿たれ、幅広な剣の側面で殴り倒され、力任せに蹴り飛ばされる。

 空中で捻身、受け身を成功させ鉄骨直撃は免れたが、身体能力含め最早別人と化した剣士はこれまでの誰よりも強敵。あの重量をバットの如く軽々と振り回して見せた。

 ここで倶利伽羅は剣士の手首に着目。恐ろしく不健康な肌色と、枯枝のような指。とても大剣を得物とするような剣士には見えない。

 改めて観察すると、今の剣士の動きがやけに機械的に見え、本人から生気を感じないように見えて来た。もしあれが魔剣の類ならば持ち主の魂を縛り、体を操って戦いに巻き込んでいても不思議では無い。

 倶利伽羅はこの推測に則り、剣士から剣そのものに狙いを切り換える。魔剣から彼の心身を、魂を救い出す為に。



  • 最終更新:2017-12-24 21:31:51

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