0046【旭宵開戦】

 鉄骨むき出しの建設現場は夜な夜な不良の溜まり場として悪用されており、今宵も下劣な催しが夜通し行われようとしていた。宴に訪れた招かれざる客人を丁重にもてなそうと倶利伽羅を囲む。和環に巣食う落伍者の多さに呆れつつ、上に通じる階段と出口を塞ぎ、得意気になる連中を静かに罵倒。頭の悪い反応を返し袋叩きにせんと四方から襲い来る連中の目前で、懐から放り出したるは発明品の球状撥条(バネ)「鋼鞠」。それを片足で踏みつけると一足で5メートル近い跳躍を見せ、そのまま上階の鉄骨に飛び移る。

 予想の斜め上を行く逃げ方に目を点にする不良をよそに、鋼糸で鋼鞠を手元に手繰り寄せては跳躍を繰り返し最上階へと到着。そこには、ゆるやかなつむじ風の中心にゆらめく橙色の光の玉。それに照らされ辺りは夕暮れのような暗い橙色に染まる。

 前回と違い、邪悪な気配はしないが放置すると言う選択肢は無い。取り敢えず素性を確かめようと近付くと、何やら階下が騒がしい。見下ろすと、見覚えのあるあの黒甲冑が現場入口に。

 何も知らない不良らが先と同じように取り囲み、倶利伽羅同様袋叩きにしようと近付く。丸腰だった剣士の手には、いつの間にかあの大剣が握られていて――

「離れろ!」

 黒き剣閃が空を薙ぐ。不良の首を捉えていた剣の軌道は急降下して来た倶利伽羅の体当たりによって大きくズレ、不良の脱色した白い髪の一部がはらりと舞い落ちた。


  • 最終更新:2017-03-26 22:20:45

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