0035【雷光の若武者】

 見廻りを終え帰路を往く倶利伽羅は暫く前から尾けられていた。通り道にある公園のど真ん中で、追跡者の動向を窺う事に。現れたのは黒い甲冑の男だった。間違いなく、昨日不良を襲っていたあの剣士だった。何故か酷く疲弊しているが、背中を見せられる相手ではないと鉄鞭を取り出し、一足で間合いを詰める。

 反撃を警戒しつつ機動力で撹乱を試みる倶利伽羅に死角から突如球状のはぐれ妖魔が奇襲を仕掛けて来た。迎撃に気を取られ生じる隙に背中へ斬撃を受ける。が、着脱不可のインナーのお陰でか被ダメージは意外な程に軽い。

 しかし、反撃しようにも足に力が入らない。それどころか突如全身を凄まじい倦怠感と疲労が襲う。一方で逆に剣士の手に力が入ったのが解る。あのフラつきが嘘のようだ。先の疲弊はブラフなのか、それとも体力回復速度が予想以上だったのか。放たれたのは、先とは段違いの鋭い斬撃。無理矢理躱すが体勢が崩れた所に不可避の第二撃が迫る。

 虚空から現れた文字通り宵闇を切り裂く雷光手裏剣。剣士が大上段に構えいざ倶利伽羅に剣を振り下ろそうとした際に生じた最大の隙、第三者からの攻撃が直撃。剣士は吹っ飛ばされ空中で体勢を立て直すも片膝をつく。甲冑から覗く憎悪迸る赤い双眸で空を見上げると、街灯の上には紫金の具足を纏う若武者の姿が。

 剣士はそのまま公園から立ち去るが、倶利伽羅は疲弊から未だ立てず。若武者はそんな倶利伽羅に球状の雷撃を繰り出す。


  • 最終更新:2017-03-21 18:34:44

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