0033【鬼が来る!】

 赤黒い剛腕が孔の縁を掴む。まず片手、次に両手。そして、最後に現れたのは口に収まらない巨大な牙と額から天を突く太い角、そして人の顔ほどの一つ目を持つ鬼の顔。

 その瞬間、倶利伽羅の拳が鼻っ柱に突き刺さる。出鼻を挫かれ、たまらず顔を覆った手は鉄鞭に叩き落とされ、止めの頭突きが鼻っ柱に炸裂。一つ目は顔から地面に崩れ落ち、その後頭部に容赦ないスタンプで顔面を幾度と地面に叩きつける。砕けた牙の欠片が鮮血に紛れて飛び散る。だが、鬼は戦意を失ってはいなかった。

 立ち上がった鬼は体長2メートルは下らない巨躯で、丸太のような腕で殴りかかる。が、その図体故に機動力に長ける倶利伽羅とは相性最悪であり、大振りの一撃を避けられては拳打を浴びせられる。だが倒されてもその都度立ち上がる鬼。ダメージは確実に蓄積している、戦意喪失していてもおかしくないレベルで。しかし、文字通り死に物狂いで向かってくる。精度も上がっており、空振りを誘うスウェイを見越して蹴りも交え始める。何かに取り憑かれたような必死さから感情はあるようだが、人語を解するだけの知性は期待出来そうに無い。つまり、どちらかが戦闘不能になる以外にこの戦いを終わらせる手段は存在しない。

 求められるのは肉体と精神を断ち切る強烈無比、されど不殺の一撃。倶利伽羅は鉄鞭を水平に構え、クロスカウンター気味に繰り出した刺突で鬼の心臓を捉える。血流が一瞬停止し、時が止まった如く動かなくなる鬼。倶利伽羅は鬼を突き倒し、時空の歪みに放り込むべく鬼の角を掴んで引きずる。しかし、意識を取り戻した鬼が倶利伽羅を抑え込みマウントポジシヨンを確保。馬乗りになって首に手をかけ絞め殺そうとする。


  • 最終更新:2017-03-21 17:46:23

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