0031【黒の剣士】

 翌日、院長に頼まれては直ぐ終わったが、昼過ぎまで家を空ける様にとの言いつけにより夢ヶ丘に戻れない倶利伽羅。記憶の手掛かりを求め、久々に町を歩く。

 その足は、いつしか路地裏に向かっていた。そこで不良の喧嘩を遠目に目撃するが、今の彼には一般人の戦いは退屈そのもの。離れようとした矢先、怒声が悲鳴に変わる。

 突然増えた大きな力の気配を辿り駆け付けると、場違いな人物が其処にいた。僅かに顔の見える全身甲冑の何者かが横たわる不良の体に漆黒の大剣が深々と突き刺していた。倶利伽羅が強襲をかけるが紙一重で躱され、剣士は闇に消えた。

 刺されて息をしていない男子を鉄鞭の柄でを叩くと微かに息を吹き返す。医療機関への受診を言いつけ、剣士を追う名目でその場を離れた倶利伽羅は、まじまじと鉄鞭を眺める。かつてこれを「打神鞭」と呼んでいた事を思い出す。対象の精神を打つ、古代兵器。

 そして、あの剣士の持つ黒い剣もこれと同じく超常の世界で生まれた一振り。早苗が言っていた「和環で多発する猟奇事件」に関わりありと確信、この日から倶利伽羅は夜廻りに出る事に。


  • 最終更新:2017-03-13 23:04:04

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