0017【心の勝敗】

 一発の銃声。

 シートを手放し、転倒する少年。立ち上がろうとするむき出しの足の甲に開いた銃創からは血が噴き出し、銃口から白煙立ち上るトカレフ片手に高場が近付いて来る。銃を突きつけたまま少年の傍に立つと、いきなり傷口を踏む。溜まらず声を上げた少年は頭を蹴り飛ばされ、倒れたところを更に”蹂躙”される。

 高場は気でも触れたかのように笑いながら一方的に少年の全身を踵や爪先で打ちのめす。その様には暴徒すらも言葉を失う。足元で微動だにしない少年の顔に唾を吐きかけたその表情は満面の笑み。更に小便をひっかけようと股間をまさぐる。その狂気に誰もが恐怖し、言葉が出ない。

 ――不意の激痛に高場は絶叫、悶絶し立ってさえいられなくなる。剥き出しの股間を強かに殴られ、無様に転げ回る。晴らした恨みが痛みでぶり返し、額に銃を押し付け命乞いしてみろと凄むが、少年は小馬鹿にしたような笑みのまま靴を脱がし、足の経穴を滅茶苦茶に押圧する。日頃の不摂生が祟り声も出ない高場と、この上無く愉しそうに笑う少年。形勢は完全に逆転していた。

 何としてでも少年を屈服させたい、絶望でくしゃくしゃになった顔で命乞いをさせたい。そう考えていた高場だが、反撃しようにも痛みで力が入らず。銃だけは執念で握り締めてはいるが、高場の心はもう折れていた。



  • 最終更新:2017-12-24 20:48:05

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