0015【Rage of black】

 院長を突き飛ばし、重機を差し向ける高場。これが最後だと再び立ち退きを迫るが子供らが飛び出し院長を庇い「この子たちを決して裏切りはしない」と院長は徹底抗戦の構え。

 絆―失意の中にあったあの頃、どんなに求めても手に入らなかったものを、何故今こいつらが持っている―それが引き金となり、高場の理性は崩れた。重機の運転士に孤児院を壊せと命じる。それを阻む者は殺せと。

 鉄血の破壊獸が唸りを上げ門を突破し、鋼の爪を振り上げる。院長が子供らを抱きしめ、最期を覚悟した。

 刹那、高場の頭に上った血が一瞬で沈下。背筋を凍らせる悪寒、それは天敵の視界に入った被食者の心理に似る。その僅かな隙が「敵」の、丘への道を疾走る黒い影の接近を見逃した。それは己の脇を通り抜け、重機の運転席に飛び込む。

 鈍い音、風防を染める血飛沫、叩き出される操縦士。無人となった筈の重機は高場目掛けて突進、包囲を切り裂くように縦走した末に横転。その瞬間、黒い影が上空へと逃れた。

 横たわる重機の上、黒い外套を纏う少年が降り立つ。その褐色の双眸を怒りで朱に燃やして。


  • 最終更新:2017-02-28 21:48:58

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