0014【神に見放された男】

 すぐさま英雄が署に応援を頼むが、現在市内で事件が多発してそれどころではないらしく、逆にその応援要請を受ける有り様。早苗も孤児院に連絡するが、繋がらない。高場の関与は推測から確信に変わる。

 夢ヶ丘に迫る危機を前に少年の意識は極限まで追い詰められる。直後、弾かれたように走り出しガードレールを飛び降りた。山肌を滑り下り、街路樹や電柱を伝い、屋根から屋根へ飛ぶように移動する忍者さながらの身体能力。早苗らが唖然とその背中を追う。時は夕刻、宵闇が迫っていた。

 孤児院は百人近いカラーギャングに取り囲まれ、世紀末の様相を呈す。院内は四方から浴びせられる怒声と時折投げ込まれる石などで恐怖のどん底に。意を決し院長が外へ。

「仮にもここは神の御前なのですよ! 恥を知りなさい!」

 激しい剣幕の院長を高場自らが掴みかかる。その表情にかつての余裕は無い。怒りに震えながら「神など、居ない」と、声を搾り出す。

 かつてはこの男も一般人として、平穏を享受していた。しかし、悪意や時流に翻弄され歯車は狂い、やがて人生そして全てを失った。その時から道を外れ、神に祈る事を辞め神の存在を憎しみと怒りを以て否定し続けていた。


  • 最終更新:2017-02-28 21:46:46

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