0007【「焔」と「飛鳥」】

 愛用のがま口を無事取り戻し大喜びの少女。二人に礼がしたいと言うが、「焔」と名乗る色黒の少女は応じる事無く去って行った――別れの際、初対面のはずの彼女を「飛鳥」と呼びながら。

 孤児らと合流後気を遣い帰ろうとするが、飛鳥は誰にも恩返し出来ずに帰っては祖父の教えに背くと半ば強制的に一行を実家である寿司屋に案内。店主である祖父は孫娘の頼みを快諾、孤児ら全員に握り寿司を振る舞ってくれた。

 人生初の寿司屋に興奮気味の孤児らの傍ら、少年は些事の礼にしては貰い過ぎと断る。そこに飛鳥に食べかけの太巻きを口に押し込まれ、祖父に「礼を受けるのも礼儀」と諭され、根負けし同じ太巻きを注文。美味しいものの共有が出来たと喜ぶ飛鳥に応え、楽しい時間を共有した。

 帰り際、飛鳥と共に見送りに出てきた院長の知人でもある彼女の祖父・半蔵が

「お前さんも取り戻せるとええな――"自分"を」

と、意味深な言葉を少年の背中に掛ける。振り向いた時、そこにはもう誰の姿も無かった。記憶喪失の事は今回一度も口にしていないのに、半蔵は少年の記憶喪失の事実を知っていた。一方、そこで初めて少年の記憶喪失を知った飛鳥に対して、本名を名乗らない事について何かしら思う所はあるものの、記憶喪失の自分が追求するのも野暮と、近いうちの再会を約束してから握手をし、別れる。その手に土産(卵焼き)を手に。



  • 最終更新:2017-12-24 20:18:29

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