【大義無き冤罪】

 そんな時、和環署の刑事・仏種が現れ、倶利伽羅を重要参考人として連行する。銀細工に鋼家の紋が刻まれているのが証拠とされてである。逮捕状も無いのに任意同行も飛ばしていきなりの強制連行と言う強引なやり口と傲慢な物言いに憤慨する燕、早苗に助けを求めるが一介の巡査に手出し出来る問題では無い。何より、あの仏種と言う刑事は行き過ぎた捜査方針で知られており、これまでにも数回の誤認逮捕を起こし、明らかになっていないのも含めれば百近い冤罪を生み出していると言う。部下、それも女からの諫言になど耳を傾けはしないだろう。

 しかし、今回のやり方には早苗も大層立腹しており、「片桐早苗として打てる手を打つ」と、何処かに電話を掛ける。

 一方、取り調べ室では倶利伽羅が羽交締めにされ一方的に殴られていた。取り調べの可視化がされていたら真っ先にスキャンダルになりそうなそれは、リンチ暴力による自白の強要、予め決められた台本に沿って執行される、偽りの事件解決へ向かう最短距離の捜査。

 戸籍も記憶も無い倶利伽羅には自分の無罪を証明する為の手が無い。切れた口中から血を流しながら何を言おうが、嘲笑のネタにしかされない。仏種と言う男は、国家権力を楯に自らを特権階級の人間であると誇示したいが為に警察に入ったような刑事だった。

 犯行動機や人間を変貌させる手段、場所を聞かれても身に覚えの無いなど皆無故に答えなどある訳も無い倶利伽羅。反論すれば殴られ、黙すれば蹴られる。次第に倶利伽羅は、心の中の黒い獣に怒りを以て意識を同調させ始めていた。

 

  • 最終更新:2017-06-18 00:14:13

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