【変わり果てた再会】

 談話を切り裂く電話のベル。応対に出た院長、倶利伽羅を呼ぶ。受話器の向こうは早苗、しかし様子がおかしい。そして、倶利伽羅に話された内容は電話越しに彼の日常を一撃でぶち壊す無慈悲なものだった。受話器が軋むぐらい握り締め、彼女の言葉を聞き直す。

 しかし、何度聞いても内容は同じ。倶利伽羅は受話器を放り出して夢が丘を飛び出す。向かう先は湖のほとり。そこは事件現場でよく見られるブルーシートの壁が出来ており、数人の警官らしき人物らが慌ただしく出入りしている。入ろうとして制止されているところを早苗に招き入れられ、現場に入る倶利伽羅。そこにあるのは、どす黒い肉の塊。ところどころが溶けていたり毛が生えていたり手が生えていたりと醜悪極まりない。が、倶利伽羅の目はその中のある一点のみに向けられていた。

 ちょうどその時、倶利伽羅が飛び出した後で受話器を拾い上げた際早苗からこの場所を聞いて来たスバルと燕が合流、現場に入る。そして、その光景に言葉を失う。同時に何故倶利伽羅に連絡が行ったのかも理解した。

 辛うじて四肢の形状が確認出来るこの肉塊の前足、つまり右腕に当たる部分に小さな金属片が埋もれている。それは、奈太が夢が丘を出所する餞別として倶利伽羅が作り与えた銀細工。それがここにあると言う事、つまりこの醜悪な物体はかつて奈太だったと言う事になる。

 肉に埋もれた銀細工を手に取り、かつての家族の変わり果てた姿に慟哭の叫びを上げる倶利伽羅。しかし、その目に一切の涙は流れていなかった。

  • 最終更新:2017-06-18 00:13:59

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